パートへの驚きと期待

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近代西洋医学はドイツやアメリカで完成され、人体細胞の組成分析などに基づいているが、相補や代替というのは東洋やアラブやインドなどの医療などである。 西洋医学は近代科学の実証的方法論に基づいているが、例えば東洋の鋪灸や気功、アラブの精神的な癒しなどは数値解析が難しいし、おそらく実験ができないなど方法論が全く異なっている。
近代西洋医学はもともと物質の解析から始まっているため、生命というよりはタンパク質とカルシウムという物質で人間をみている。 そのため、例えば人間の全体像、精神と肉体のある総合的な存在としての人間をどう扱うかということになると、近代西洋医学の視野は限られていると言わざるを得ない。
切三つ目の課題は人材育成の推進である。 今後、保健、医療、福祉など総合的な健康づくり支援システムを整備していく上で、それを支払える人材として医師、保健師、介護福祉士など公的資格のある職種だけでなく、エステティックなど公的資格のない分野でも大学や専門学校、養成校などで幅広く人材養成を進めることが必要である。
ちなみにフランスではエステティックは医師に次ぐ資格になっている。 エステというのは細胞に浸透するような薬を使ったりするから医療と隣り合わせの分野である。
日本ではまだ国家資格にしようという機運はない。 逆にエステ業界には実体の不透明な業者も混在し、一般の利用者の不信を買っている面もあるので、少なくとも業界自身で一定の基準を整える必要がある。
人々が信頼できるエステを選別できるようになれば、いまよりさらに大きなサービスとして、産業として発展する可能性があるだろう。 健康づくりや疾病予防の分野では、欧米諸国では、西洋医学や東洋医学などを総合した広い見地から研究が進められているが、日本では研究者層が非常に薄い。
従って今後、EBHに向けた体制整備のためには、大学院などで高度な専門知識を持つ、統合医療を扱えるような専門家の育成が重要になる。 産業界では健康食品などの開発が盛んで、特に大企業はかなり熱心に開発を進めているが、中小企業でもそういう研究開発人材の育成を支援する必要がある。
四つ目は個人の代理人としての保険者機能の強化である。 保険者とは健康保険組合のような保険の運営主体のことで、個人の健康増進への取り組みを専門的な知識を提供できる保険者が支援していくことが効果的である。

保険者は被保険者の健康診断の結果やレセプトなどを通じて、個人の健康状態や疾病歴などを経年的に把握することができる。 従って健康保険組合などは、個人のプライバシーに注意しながら、これらの情報をもとに生活習慣や食生活、運動量などのデ−タを加えて、医療機関などとも連携しながら、被保険者に対する効果的な健康指導をすることが可能である。
継続的な取り組みを支援するには、健康指導だけではつまらないから、レジャー活動やスポーツなどいろいろ組み合わせて面白く、魅力的にすることにより、健康増進プログラムの内容を工夫することも有用である。 日本は国民皆保険制であり、誰でも医療機関にアクセスできる。
そのため健康管理に努めている人とそうでない人との間で負担と給付に差がなく、健康増進努力へのインセンテイプが働きにくい。 つまり努力をすれば病院に入りやすいとか、努力をすれば保険料が安くなるとか、そういうことになっていれば皆頑張るだろうが、努力してもしなくてもサービス給付などは同じであるため、健康のために積極的に努力をしたり、投資をしたりするインセンティブが働きにくい構造になっている。
健康保険組合など保険者による組合員への健康増進指導は意識を喚起することにもなる。 何よりも被保険者の健康が増進されれば、健康保険組合の財政が安定するというメリットがある。
従ってこれは当然、健康保険組合からすれば有効なことである。 健康保険組合が組合員個人の代理人(エージェント)としての機能を発揮できるような様々な環境整備が求められる。

医療システムの実現には、個人の選択を可能にする十分な情報の提供が必要である。 そこでカルテを電子化するための診療情報のガイドラインの策定・普及が求められる。
それから、医療機関の広告規制の原則撤廃とネガティブリスト化も急がれる。 ポジティブリストではその範囲内でしか広告できないが、ネガティブリストなら社会的に害があると思われるもの以外はすべて可能になり、この方がはるかに望ましい姿である。
第三者機関による医療機関評価の促進、情報提供については先ほど述べた。 評価機関だけではなくいろいろなところでそれが可能である。
個人本位の予防、治療、介護などトータル・ヘルスケア・サービスが提供できるように、医療機関の経営形態の見直しも必要である。 つまり、現在は病院だと基本的には治療しかできず、医療保険機関が予防を、介護事業者や介護施設が介護をやっているが、個人にとっては予防、治療、介護は一連のプロセスであり、一カ所で全部やれる方が便利である。
公的保険の周辺分野について公的保険との併用を認める必要がある。 例えばドイツやフランスでは、最近少し狭められたが、温泉療法が健康増進にいいということで、温泉に公的保険が適用されている。
これ以外にも、日本ではできないそうした分野はいくつもある。 先ほどの混合診療の問題も、世界で開発された非常に新しい、日本では効果が実証されていない治療方法などについて、本人の選択に基づき、公的保険と自由保険の両方の適用を認めるという問題だと考えられる。
それから個人本位の医療サービス提供の基盤となる情報化の推進が必要である。 例えばカルテの電子化が進むと、医療機関の内外で診療情報が共有化され、チーム医療や遠隔医療が可能になるし、診療情報の蓄積・分析が容易になり、診療行為の標準化・高度化が進む。
診療報酬体系の合理化の根拠にもなり、医療機関の評価、医療機関経営の合理化などが進むほか、医療の安全確保にも資するなど、様々な効果が期待できる。 さらに、個人の健康診断情報とカルテが一体化されたデータベースで管理されるようになると、個人の健康や疾病に関する情報全体の把握や分析や、個人向けのテーラーメイドの健康サービスの提供が可能になり、個人情報の保護を担保しながら診療情報の転送や外部保存を図ることも可能になる。
これについては既に述べた。 それからレセプトの電子化により審査手続きのコストが減る。
レセプトの分析が容易になる。 被保険者個人ごとの健康増進指導事業の根拠にこれが使える。

健康サービス産業創造研究会の報告書には、健康サービス産業創造へのいくつかの具体的な提案が盛り込まれている。 第一は、健康サービス産業のモデル都市をつくる構想である。
つまり、どこかに進んだ例をつくってそれを見習うようにしようという提案である。 これを「ウエルネスコミュニティ」と名付け、まず健康づくりプラットフォーム創設へのモデル事業が提案されている。
モデル事業の要件は、その事業に先進性、モデル性があり、健康増進効果が客観的に認められ、雇用創出効果があり、事業の継続性があるということ。 事業主体は企業でも自治体でもNPOでもボランティアでもよいが、おそらくそれらを総合的に組み合わせるのがベストである。
モデル事業のイメージとしては四つほど考えられる。

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